不安は扁桃体の興奮―不安を感じたことの94%は起きない

うつは自分で治せる!

おはようございます。臨床心理士/牧師の河村です。きょうはご気分はいかがでしょうか。

不安や恐怖を感じる中枢のお話しです。

扁桃体。読み方は「へんとうたい」。脳の側頭葉の内側、海馬の近く、左右対称に位置しているアーモンド型の器官です。アーモンドは「扁桃」といいます。そこから扁桃体と名づけられました。

扁桃体は、クマが突然目の前に現れた場面など、脅威やストレス刺激を感じると興奮し、闘争・逃走反応を引き起こします。一瞬で判断せよと迫ってくれるのです。

海馬。読み方は「かいば」。視覚・聴覚・嗅覚・触覚などから得た情報は海馬に集められ、大脳皮質で保存されて記憶になります。海馬は扁桃体と隣接していて、海馬が扁桃体を過剰反応させてしまうことがあります。過去のことを思い出して突然恐怖心が湧き上がってくるのは、このメカニズムがあるからです。

脅威に対する危機管理を担ってくれる扁桃体ですが、実は少し厄介です。強いストレスに晒され続けると扁桃体の樹状突起が成長し、些細な刺激にも強く反応する過敏状態になります。小さなストレスにも過剰反応して不安や恐怖を感じやすくなってしまうのです。心的外傷後ストレス障害(PTSD)の人は扁桃体が過剰に活動し、過覚醒や強い恐怖反応が喚起されやすいと言われています。

扁桃体は理性のブレーキで制御されていますが、ストレスがかかりすぎるとブレーキが効かなくなります。そうすると、扁桃体は暴走しやすくなります。弱い刺激でも過剰反応し、時間が経ってもストレス反応が収まらなくなります。危機や脅威の実態がないにもかかわらず、扁桃体は常に警報を鳴らし続けます。
これがメンタルバランスを崩したときに不安や恐怖を感じやすくなる、あるいはいつも感じてしまうメカニズムです。
このような不安は、不安を喚起する実態がありません!ここがポイントです。人間が不安に感じることの94%は実際に起きないと言われるのは、生物学的にも間違いではありません。
不安や恐怖が襲ってきたら、扁桃体が過剰反応してグルグル回っているだけだと考えましょう。不安は抑えようとするとますます扁桃体が刺激を受けて暴走します。しばらくそっとしておくほうがよいかもしれません。
ここまでお読みいただいてありがとうございました。
きょうもよい一日でありますように。

河村従彦

臨床心理士/牧師
カワムラカウンセリングルーム運営
KCPSコンソーシアム(牧会・心理職研修会)主宰
牧師人材育成、大学非常勤講師、ボランティアカウンセラー養成、出版、児童発達支援、職員コンサルにも従事、企業の総務にも関わる
東京、神奈川、静岡で教会を牧会
臨床心理学とキリスト教の両方に関わる領域に関心
「神イメージ理論」はライフワーク 博士(人間科学)
若い頃のアイデンティティ崩壊、人生後半にメンタルバランスを崩した経験から、人のお役に立ちたいと願って臨床を続けている

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