心の傷がいやされて行くにつれて、一つの現象を体験します。不機嫌の感情の軽減です。
不機嫌の感情は人間を苦しめます。自分では意図しないのに不機嫌になってしまう自分に悩んでいる人は少なくありません。特にキリスト者は、このネガティブ感情に悩まされます。不機嫌にならないように、一生懸命心理操作を試みたりします。「不機嫌を取り除いてください」と祈ることもあります。しかし、本人の責任ではありません。信心が足りないと考えて自分を責める必要はまったくありません。
不機嫌の感情は、過去、特に幼少期に不適切な養育や扱いを受け、人としての尊厳を踏みにじられたことで感じる感情です。人が自分のことを尊重してくれないとき、過去に味わった感情を追体験します。抑えようとしても抑えることはできません。
不機嫌の感情は、原始的な部位である扁桃体や大脳辺縁系で発生し、前頭葉によって制御される仕組みになっています。継続して過度のストレス刺激が加わると、扁桃体が過剰反応し、いつしか暴走するようになります。この症状は、PTSDを発症した方にも観察されます。
自分取り戻しのプロセスが進むと、主体意識が持てるようになります。主体意識がもてるようになると不安が軽減され、不安が軽減すると脳内の部位も過度に刺激されなくなります。扁桃体は少しずつ過剰反応しなくなり、人が自分のことを尊重しなくても傷つきにくくなります。耐性が付いてくる感じです。
ふと、怒り、不機嫌さがそれほどでもないかなという感触を味わいます。以前だったら、このような言い方をされたときには、条件反射のように自分のことを粗末に扱ったという思いが出てきて、一瞬遅れて、怒りや不機嫌の感情がわき上がってきたのが、「あれっ、そうでもないかな」ということに気づきます。
これは、黒が白になるように、一気に変わるものではありません。一気に変わるのでないからこそ意味があります。心の傷がかさぶたのようになり、自分でもいやだった自分の感情に少しずつ振り回されなくなります。
続く

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