宗教2世、教会2世 心の傷がいやされて落ち着いてくる感覚

宗教二世/教会二世

いやしのレベル

臨床を行う中で、心の整理がつくステップがいくつかあることに気づきました。

初回面接でご自分なりの整理をつけることができるケースも実際にありますが、瞬時にして黒が白になるような劇的な変化が訪れることは稀です。時間やレベルにかなりの幅があります。

段階に分けて整理してみました。

1 信仰や神学の間違った理解に気づいて心の整理がつく

2 自分の振り返りをして、数回のセッションで心の整理がつく

3 自分の振り返りをしながら、継続的なセッションが必要になる

4 自分の振り返りをしながら、年単位でサポートを継続する

1は、神学的な誤解が解けて、あとはクライエントが自分で自己ケアして行けるケースです。

2から4も、ほとんどの場合、信仰や神学の調整が必要です。宗教が拘束力になっているケースを幾度となく見てきました。

トラウマ記憶がある場合は、潜在意識の上書きなどいくつかのことを併用しながら、それでも変化変容までに年単位の期間を必要とします。考え方や認知を変えるだけではどうにもならないケースもあります。共に歩むことを大切に、無力な自分を差し出しながら寄り添って行きます。

カウンセリングが終結しても、体に染み込んだ考え方や行動の癖は一瞬にして変わるものではありません。ゆっくり自分を労って行きます。カウンセリングを受けたあとの人生は、自分を労ることを人生観の一部に組み込んで行きます。

不機嫌がやわらぐ

心の傷がいやされて行くにつれて、一つの現象を体験します。不機嫌の感情の軽減です。

不機嫌の感情は人間を苦しめます。自分では意図しないのに不機嫌になってしまう自分に悩んでいる人は少なくありません。特にキリスト者は、このネガティブ感情に悩まされます。不機嫌にならないように、一生懸命心理操作を試みたりします。不機嫌を取り除いてくださいと祈ることもあります。しかし、本人の責任ではありません。信心が足りないと考えて自分を責める必要はまったくありません。

不機嫌の感情は、過去、特に幼少期に不適切な養育や扱いを受け、人としての尊厳を踏みにじられたことで感じる感情です。人が自分のことを尊重してくれないとき、過去に味わった感情を追体験します。抑えようとしても抑えることはできません。

不機嫌の感情は、原始的な部位である扁桃体や大脳辺縁系で発生し、前頭葉によって制御される仕組みになっています。継続して過度のストレス刺激が加わると、扁桃体が過剰反応し、いつしか暴走するようになります。この症状は、PTSDを発症した方にも観察されます。うつやストレス障害の場合も、扁桃体の体積が変化することがわかっています。

自分取り戻しのプロセスが進むと、主体意識が持てるようになります。主体意識がもてるようになるにつれて不安が軽減され、脳内の部位も刺激に晒されなくなります。扁桃体は少しずつ過剰反応しなくなり、人が自分のことを尊重しなくても傷つきにくくなります。耐性が付いてくる感じです。

ふと、怒り、不機嫌さがそれほどでもないかなという感触を味わいます。以前でしたら、このような言い方をされたときには、条件反射のように自分のことを粗末に扱ったという思いが出てきて、一瞬遅れて、怒りや不機嫌の感情がわき上がってきたのが、「あれっ、そうでもないかな」ということに気づきます。

これは、黒が白になるように、一気に変わるものではありません。一気に変わるのでないからこそ意味があります。心の傷がかさぶたのようになり、自分でもいやだった自分の感情に少しずつ振り回されなくなります。

自分取り戻しカウンセリングも一段落です。

続く

河村従彦

臨床心理士/牧師
カワムラカウンセリングルーム運営
KCPSコンソーシアム(牧会・心理職研修会)主宰
牧師人材育成、大学非常勤講師、ボランティアカウンセラー養成、出版、児童発達支援、職員コンサルにも従事、企業の総務にも関わる
東京、神奈川、静岡で教会を牧会
臨床心理学とキリスト教の両方に関わる領域に関心
「神イメージ理論」はライフワーク 博士(人間科学)
若い頃のアイデンティティ崩壊、人生後半にメンタルバランスを崩した経験から、人のお役に立ちたいと願って臨床を続けている

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