おはようございます。臨床心理士/牧師の河村です。きょうはご気分はいかがでしょうか。
軽度のうつになってみていろいろなことがわかりました。一番身に沁みたのは、この疾患についてまったく理解していなかったということです。実は自分の周囲にかつて気分障害を患った人がいました。落ち着くまで20年近くかかりました。家族の中に、「気持ちの問題じゃないの?」という人がいました。「そうじゃない、これは体の病気だ」と反論した記憶があります。
そのとき思いました。「オレが絶対に治してやる」。そのようなこともあって、臨床心理士の資格を取りました。しかし実際には、ことはそのように簡単ではありませんでした。そのときの自分も、気分障害についてわかっていませんでした。
うつ病は珍しい病気ではありません。厚生労働省のデータによれば、欧米よりは低いものの、生涯に約15人に1人、過去12ヶ月間に約50人に1人がうつ病を経験しています。うつ病にかかっている人の1/4程度が医師を受診していますが、残りの3/4は病気であると気づかなかったり、医療機関を受診しづらかったりして、医療を受けていません。
一般的になった背景はあります。1980年代くらいまでは極めて稀な病気だったのが、アメリカ精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」の第3版(DSMーⅢ)から定義が大幅に広げられました。
生涯有病率が15人に1人、ということは想像してみてください。ラグビーのチームは15人です。確率の問題ですが、その中の1人が生涯のどこかでうつ病になるということです。
「気持ちの問題」ではまったくありませんでした。身体の異常、それも熱が出たとかお腹が痛いとかいうのと違う、突然体全体がどこか変になった、ことばにならない違和感でした。2つのことばが当てはまると思います。しんどさ、恐怖心、この2つです。
熱が出るわけでもなし、お腹がいたいのでもない。しかし、だからこそうつ病は正しく理解してほしいのです。あのしんどさ、恐怖心はだれにも味わってほしくないのです。これからも発信し続けます。
ここまでお読みいただいてありがとうございました。
きょうもよい一日でありますように。
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