カウンセリングでは、自分意識を認識することが一つのゴールになります。
自分意識については何度か言及してきました。ここで自分意識についてまとめます。
自分意識とは、自分とはどういう内界を持っている人間かという意識のことです。
自分意識を持っていない人がいます。親の立場にいる人が自分意識を持っていないと、自分が他の人に対してやっていることの意味が理解できないので、知らないで子どもを傷つけることになります。
自分意識が欠落している人の心理的な特徴を挙げておきます。
1 自分はどういう人間なのか、自分が何を感じているのかがピンときていない
「本当の自分」(心で感じている正直な自分)を「自分の中の他人」にしてしまっている状態です。
2 感情機能が麻痺している
自分意識が欠落しているために、感情機能が働きません。感情のバリエーションが欠落しています。周囲に漠とした違和感、警戒心を与えます。
感情機能が麻痺していると聞くと、自分は感情機能が働いていると反論する方があります。怒りを感じているからです。怒りを感じていることと感情機能が働いていることは別のことです。詳細は、第二章のパターン7をご参照ください。
3 やってもらって当たり前という意識がどこかにある
深い傷つきがあって自分は被害者だと感じているため、やってもらって当然と考えます。どれだけほめてもらっても満足しません。お願いしてやってもらっても、自分の思いどおりでないと、やってくれた人を責めたりします。
4 自分は傷つけられたと言いながら人を傷つけていることに気づかない
自分は傷つけられたという意識が強く、他者視点共感能力が欠如しているために、自分の言動が人を傷つけていることを認識できません。
5 「~である(to be)」ではなく「~べき(ought to be)」で生きている
「~べき」の達成度が、生きる支えとプライドになります。これが律法主義の心理的背景です。
6 秘められた攻撃性がある
一見すると穏やかな人柄のように見えますが、自分が心理的に追い詰められ、自分を守る場面になると攻撃性が出ます。勢い、ことばも残忍になります。
7 他者意識が欠落し、人の気持ちがわからない
自分の言動が周囲からどのように受け取られるかを感じ取ることができません。他者視点共感能力が乏しく、恥ずかしいことをしていても自分でそれに気づくことはありません。
8 心的プライマリーバランスが崩れている
心的プライマリーバランスとは、心のやりとりの量の収支です。与える量ともらう量があまりに違うと、心は悲鳴を上げます。自分意識のない人は、深い傷つきがあって自分は被害者だと感じているため、ほめてもらっても満足することはありません。周囲から心理的な取り立てをし、それが当たり前というスタンスになります。
自分意識が欠けていることに気づくことは、いやしへのスタートであり、自分意識をある程度持てるようになることは、とりあえずのゴールになります。カウンセラーは、自分意識という点を頭のどこかで意識しながら話しを聴いて行く感じになります。
親は自分を愛していなかった
全員に当てはまるわけではないのですが、最大の鬼門があります。親は、何か事情があって、子どもである自分を受け入れることが出来なかったけれども、本当は愛してくれていたことに気づくケースもありますので、一概には言えません。
最大の鬼門とは、親の自分に対する本当の気持ちがわかってしまうことです。
親に傷つけられていながら、それでも親を擁護するケースがあります。親は自分に酷いことをしたけれども、それでも自分を愛してくれていると思いたいのです。
クライエントは、この一筋の希望を最後まで持ち続けようとします。カウンセリングのやりとりで、ことばの上で、親は自分を愛していなかったという話しになっても、それでもこだわり続けます。「何かの間違いかもしれない。本当は自分を愛してくれているかもしれない」
そして、悲しい瞬間がやってきます。
自分は本当は愛されていなかった。この現実を受け止める瞬間です。親が自分のことを愛していなかったことがわかってしまう瞬間は、どれだけ辛いだろうと、深く心揺さぶられます。
その後、カウンセリングがどのような展開になるかは人それぞれです。しかし、親の本当の気持ちがわかるのは一つの区切りになります。
続く

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