これまで、自分取り戻しカウンセリングのプロセスについて述べてきました。
人格形成期まで遡って過去の振り返りをするときに、深いところでいやしを経験する必要があるケースが少なくありません。内面の深いところでいやしを経験できると、その後の生き方が少しずつ安定してきます。
あくまでクライエントのニーズ
これから述べることは、順番に追って行くマニュアルではありません。単独でやってみる場合もありますし、第十章の自分取り戻しカウンセリングのプロセスで、必要と感じた場合に活用し、組み込むこともあります。
大切なのは、カウンセラーがこのようなフォーマットを持っていることではありません。あくまでクライエントのありのままに添っているかです。こちらからおせっかいやきをしてはいけません。勇み足も厳禁です。クライエントが傷つくだけです。
臨床で使う前に、ご自分をクライエントに見立てて自己ケアをやってみると、その意味がより実感できるかもしれません。この場合も、自分というクライエントのありのままに添っているかが大切です。
自分意識を獲得する
このブログでは、何度か自分意識について説明しました。自分意識を頭のどこかに置きながらカウンセリングをしても、なかなか進まないことがあります。自分意識についてもう少し考えます。
自分意識はどのようにして獲得して行けるのでしょうか。
人間は、外からの刺激(アクション)に対して反応(リアクション)しながら生きています。嫌な人が目の前に現れれば、嫌だという感情が喚起されます。好意を感じる人が現れれば、嬉しいという感情が喚起されます。心の化学変化です。
ここで不思議なことが起きます。ある人に初めて出会ったとします。一度も会ったことがないのに、嫌な気持ちが喚起されることもあれば、嬉しい気持ちが喚起されることもあります。過去に出会った人と似た人に会うと、人間は似た感情を追体験します(「図 自分意識の構造」参照)。
本来であれば、目の前にいる人に対して感情反応を起こすはずですが、過去に経験した屈辱や恥の記憶を追体験して、追体験した感情を目の前の人に感じてしまうのです。これが心理学用語で言う「転移」です。

転移はおかしなことではなく、人間であればだれもが持っている機能です。実はすばらしく高度な機能です。この機能を上手に活用することで自分意識がわかるというメリットがあります。
目の前の人や出来事に対して、自分が感じる感情に息苦しさを覚えたら、過去に何かがあった可能性があります。たとえば、虐待やハラスメント、不適切養育や教育、そのことで屈辱や恥辱を感じた体験です。教会二世の場合も同じです。
続く

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