ここで原感情について触れておきます。
ネガティブ感情には構造があります。
一次感情 悲しみ、寂しさ
二次感情 怒り 人格の尊厳が損なわれたときに感じる正当な反応
三次感情 憎しみ 怒りの増幅感情
カウンセリングでは、一次感情にフォーカスします。怒り、憎しみの下には、悲しさ、寂しさがあります。
ところが、一次感情よりもさらに深いところに、一次感情を生み出している感情があります。それを「原感情」といいます(『メンタル“ヤバめ”をやめられる本』では「第0感情」という呼び方をしています。三一頁参照)。
人格形成期に起因する心理的不全感の背景には、原感情の傷つきがあります(図 ネガティブ感情の構造)。

原感情には主に二つの要素があります。
1 承認欲求 ~してほしかった、認めてほしかった、褒めてほしかった
2 自己実現欲求 ~したかった、自分でやりたかった
ほとんどの場合、問題になるのは1です。
自分取り戻しカウンセリングのプロセスで、「自分は承認欲求が強いので」と言われる方があります。原感情のケアは、次のステップで対応します。
1 原感情をありのまま表現する
悲しみの背後に一次感情を生み出している原感情があることに気づいたら、その感情をありのまま表出できるように、安全な環境を提供します。感情は抑えてはいけません。悲しくなったら思う存分泣いていいのです。泣いたほうがいいのです。
2 承認欲求をそのまま尊重する
承認欲求を感じている自分もそれでいいと受け止めます。
クライエントは自分の承認欲求に苦労してきたので、承認欲求を感じている自分を責めていることが少なくありません。
承認欲求は無理して手放す必要はありません。承認欲求は自分から手放してはいけません。承認欲求は恥ずかしいものという認識があるので、隠していることが多く、手放そうとさんざん操作してきました。しかし、それは逆効果です。
承認欲求は否定せず、自分で自分を大切に、そのまま認めます。「あっていい。あって当然だよ。認めてほしかったもんね」と。親に言ってほしかったことがあったら、そのことばを自分で自分にプレゼントします。「あなたの○○はステキだよ」、と。
3 ただ、そこに「在ること」を許す
自分がここにいることを、そのままいていいと、許します。
感情は「感情くん」と呼ぶことができるくらい生き物です。「そう感じているんだよね。それでいいよ」と、ただ許します。
傷ついて生きてきた自分がここにいることを許します。何もいじりません。ただ、そのまま許します。
親に認めてほしかったけれども、認めてくれなくて悲しんでいる自分がいることを、ただ許します。「悲しかったよね」と、ただ許します。
承認欲求があることも、そのまま許します。「承認欲求もいいよ。当たり前だよ」と、許します。「それもステキだよ」と、許します。
教会二世として生きてきた自分がいることを、ただそのまま許します。「教会二世として生まれて、いろいろ大変だったよね」と、ただ許します。
人が怖くて、人前で繕って疲れてしまった自分を、「疲れたなら疲れたでいいよ」と、ただ許します。
人のことを傷つけてしまった自分がいることを、「精いっぱいだったよね。辛かったよね」と、ただ許します。
親が赦せない自分がいていいと、ただ許します。「赦せなくていいよ。無理ないよ。当たり前だよ。精いっぱいだったよ。赦せないのもステキだよ」と、ただ許します。
自分を責めてしまう自分が生きていていいと許します。「自分を責めるのも無理はないよ。それだけ頑張ってきたからね。つらかったよね」と、ただ許します(『メンタル“ヤバめ”をやめられる本』、七五頁参照)。
4 自分が過去の自分の親になる
原感情の傷つきは、親に愛されなかったことに原因があります。親に愛されることを諦めたからといって、希望がないわけではありません。親から十もらえない場合は、他から十もらうこともできます。一をくれる人もいます。そのような人が何人かいるだけで、人生は変わってきます。
今の自分が親になって、過去の萎縮した自分に、自分が子どものときに親に言ってほしかったことばをかけてあげます。
5 過去の自分応援隊になる
過去の自分を育む意識を持つようにします。感じられなかったものは取り戻していい、失ったものは取り戻していいと宣言します。自分で自分の背中を押します。こうありたい自分になっていいと宣言します。
続く

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